windhole publishing

風穴 江(Ko Kazaana/@windhole)のブログ

中学生になった息子にスマートフォンを与えてみたら

この記事は、「子どもとネットを考える会」による「Advent Calendar 2016」の13日目の記事です。

今年のテーマは

「子供/保護者」×「オンラインコミュニケーション」

ということなので、私も、息子のスマートフォン(モバイルインターネットアクセスデバイス)について経験したことを書いてみようと思います。

f:id:windholep:20161213100132j:plain

スマホ以前

小学生のときは、いわゆる「子ども用携帯電話」を持たせていました。自分で持ち物を管理できるようになってからということで、与えたのは小学校3年生ぐらいのとき。外出する際に持っていく(在宅時は使用しない)という運用で使っていましたが、位置情報が取れたり、簡単なメッセージのやり取りができたので(もちろん、通話も)、これはこれで便利でした。しかし、次第に、

  • やり取りできる情報が限定的(日本語入力がツライ、カメラがない、などのため)
  • コミュニケーションのための便利なツールが使えない

といった点が不満(主に私の都合からの)として顕在化するようになりました。

導入検討

そこで、中学校への入学を機に、スマートフォンに切り替えることにしました。同時に、大手キャリアからMVNOへ切り替えて、毎月のコストもリーズナブルなものに変更。防水で造りもしっかりしていて、予算内に収まるSIMロックフリー端末も目星をつけました。

……というところまでは、準備万端だったのですが、さて、インターネットアクセスをどうするか(=どのような形で使わせるか)は、すごく悩みました。仕事柄、インターネットのセキュリティリスクは人一倍、敏感に感じていますし、それらから完璧に守ることの難しさも、日々、骨身に沁みていますから。

オーソドックスなやり方としては、セキュリティソフトウェアでペアレンタルコントロールをするべきなのでしょうが、いろいろある選択肢から何をどう選ぶか、それを選ぶためには、何をどこまでコントロールすべきかを明確にしないと……などと考え始めると、パラメータが多すぎてなかなか結論を出せず……。

そうこうするうちにあっという間に春休みになり、気づいたら、「慣らし運転」の時間を考えると、そろそろ導入しないと間に合わないタイミングになってしまいました。しょうがない、エイヤで導入して、後は走りながら考えるしか……(笑)。ということで、最初に簡単な約束を3つほど決めて、後はとにかく使わせてみることにしました。

エイヤで導入

実際に渡してみると、子どもは狂喜乱舞、いろいろ触ってみてはいちいち面白がって、ほっとくとずっとスマートフォンをいじっています(まぁ、そりゃそうだよね)。ということで、さっそく、

「ながら使い」はしない(いじらない)

というルールが作られました。人と話をしているときや、食事をしているときなどは使わないようにしよう、ということです。

次に作ったルールは、LINEにの使い方についてです。小学校の同級生、サッカーチームの友だち、中学校で新しくできた友だち……と、あっという間にLINEでの繋がりが増えていきました。だんだん使い方が不安になってきたので、とりあえず、

LINEで繋がるのは、リアルの友だちだけ

というルールにしました。実際のところ、まだ「リアル以外の人と繋がる」シチュエーションは出てきてないのですが、早い段階でそれを意識させたのは、良かったかなと思っています。

学び(1)

ウチの息子は、Scratchなどのプログラミングでパソコン(やRaspberry Pi)を利用していましたが、本格的に自分が自由にできるインターネットアクセスデバイスとしては、このスマートフォンが初めてでした。

なので、スマートフォンというよりは、インターネットの利用の仕方として、いくつかの「学び」に遭遇しました。

使い始めて1カ月も経たない頃、リビングでスマートフォンを操作していた息子を見ると、何やら、たくさんテキストを打ち込んでいました。

私:何してるの?
息子:今から10人にメッセージを送らないと……。
私:え、何? ちょっと待って!!!

詳しく聞いてみると、LINEで繋がっている友人から、「これを受け取ったら、他の10人に転送して」というメッセージを受け取ったとのこと。いやいや、それ、チェーンメール(メールじゃなかったけど)だから。

「とあるTV番組の呼びかけで」という話だったので、「じゃあ、そのTV番組のホームページを見てご覧?」と確認させました。すると案の定、トップページに、この番組を騙ったチェーンメールへの注意喚起が掲載されていました。

インターネットは、今回のような怪しい情報が流れてくることもあるけど、一方で、使い方次第では正しい情報を簡単に調べることもできる、ということを経験として学ぶことができました。

学び(2)

それからしばらくして、熊本地震が発生。連日、そのニュースが報道されていたある日のこと、学校から帰宅して、おやつを食べながらスマートフォンをいじっていた息子が「大変! 動物園のライオンが逃げ出したんだって!」と言い出しました。

この頃になると、インターネット上のホットトピックへの感度は、息子のほうが高い(早い)ぐらいになっていて、私もそのときは、この「ニュース」を知りませんでした。なので、それは大変だと、一緒に情報を確認してみることにしました。

こういうとき、どこを確認すれば良いか、一緒に考えてみました。息子が考えたのは「Googleで検索」。うーん、それでも良い場合もあるかもしれない(あるいは、将来的にGoogle検索がそうなる可能性はありますが)けど、まずはオフィシャルで確認してみよう、と促しました。もし本当にこれほどの「大事件」が発生しているのだとすれば、行政や警察が情報を出していないはずがない、ということで、熊本県、熊本県警を確認しました。当然、何も情報がありません。次に、信頼できるメディアの本サイトでニュースになっていないかどうかを確認しました。やはりありません。

この時点では、この「ニュース」がデマであると明確に示していた(信頼できる)サイトはありませんでしたが、それでも「怪しい」という感触を得ることはできました。

まとめ

スマートフォン導入から9カ月。本当に肝を冷やすようなインシデントには、幸い(本当に幸いなことに)遭遇していません。だから大丈夫というつもりは毛頭ないですし、なのでこれがお勧めと言うつもりもありません。が、もしかすると、これが少しは関係しているかも……と思うのは、スマートフォンを最初に渡したときに決めた「簡単な約束」です。

  • 家では、リビングでのみ使う(自室に持っていかない)
  • 端末ロックの設定は、必ず父ちゃんと共有する
  • アプリをインストールするときは、父ちゃんと一緒にやる

つまり、目の届くところで使い、「いつ覗かれてもいい」ような使い方をする、変なアプリはインストールしない(=させない)、という意図です。

そのときは何となく決めたのですが、これによって「変な使い方」「危ない使い方」の歯止めになっているように感じています。スマートフォンの使い方や、インターネットから得た情報について、ほぼ毎日、普通に子どもと話題にしていて、その会話から、日々どんな使い方をしているのかを、ある程度は把握できています。それもあって、いつでもスマートフォンの中身を覗けるのですが、最近は実際に覗くことはほとんどなくなりました。

あくまでもこれは我が家のケースに過ぎませんし、いずれにせよ「今のところ」でしかありません。参考になれば幸いです。

明日は「chiaki9615」さんです。お楽しみに!

コメントはFacebookページのほうにお願いします。

デザインテーマとして、shiromatakumiさんの「Brooklyn」を使わせて頂いてます。
「Brooklyn」はCC BY-ND 2.1でライセンスされています。