この記事は、「編集とライティングにまつわるアレコレ Advent Calendar 2017」の「12月18日」のエントリです。
少し前、SNSのタイムラインに、以下の記事が流れてきました。
「ペッパー」開発者が古巣に突きつけた挑戦状(東洋経済オンライン)
記事のアイキャッチには、この記事で取り上げられているベンチャー企業が街頭で掲出している広告の写真が設定されていました。そこには、
いま世界に必要なのは、ロボットじゃないのかもしれない。けれど、、、(原文ママ)
というコピーが。広告コピーなので、あえてそうしているのでしょうけど、こうまで堂々と「、、、」が使われているということは、こういいう表記(表現)が、ある程度は受け入れられているということなのでしょう。でも、やっぱり、私のようなold typeは気になるのでした……。
ということで、こうした「約物」の表記について書いてみることにしました。もちろんですが、正解というものはないので、基本的には好きにしてもらって良いのです。私のところでは、こうしてます、という話です。
約物の表記で気をつけてること
要するに、「読者が迷いなく読めるよう、文の終端を明示し、約物の意図を明確にする」ということです。
実際の例を見てもらうのが早いでしょう。以下の例文で、気になるところはあるでしょうか?
- どうだった?とまりは言った。
- やった!とまりは思った。
- 明日は営業しています。(ただし、夕方まで)
- そうだったのか。。
- そして翌朝---。
私としては、これらは、以下のようにしています。
- どうだった? とまりは言った。
- やった! とまりは思った。
- 明日は営業しています(ただし、夕方まで)。
- そうだったのか……。
- そして翌朝──。
「1.」と「2.」については、約物(主に?!)が文末に来た場合は、約物の後ろに全角スペースを入れる(=1文字空ける)ということです。これがないと、どこで文が切れているのか分かりづらいからです。
「1.」と「2.」が、もし1文だった(=筆者の意図として)場合は、それぞれ、
- 「どうだった?」とまりは言った。
- 「やった!」とまりは思った。
のようにします。言った内容、思った内容をカギ括弧くくりにすることで、地の文と区別が付くように、という意図です。
「3.」は、括弧書きで付した内容が、どちらに関係するかを明示する、という意図です。すなわち「明日は営業しています」の注釈として「ただし、夕方まで」と添えるなら、この括弧書きは、「明日は営業しています」の文の中に含めるべきです。なので、句点は括弧書きの後につけます。
「4.」の例は、冒頭で紹介した広告のコピーと似ています。こういう場合、商業出版では、長らく「……」(三点リーダーを2つ続ける)を用いてきました。しかし、最近のカジュアルな文章では、同様の意図として「、、」や「。。」が用いられているようです。
個人的には、「、、」や「。。」だとtypoの疑念を拭えないので、明確に「……」としたいところです。
「5.」の例は、活版や写植の頃は、それほど揺れがなかったように思いますが、Webメディアでは、(商業出版であっても)まちまちなように見えます。意味的には「ダッシュ(全角)」(EM DASH、U+2014)を使うべきなのですが、そうすると、表示環境によっては、(2つ続けたときに)2本の線の間に隙間が出来てしまいます。なので、私は、テキスト罫線の「横細線素片」(BOX DRAWINGS LIGHT HORIZONTAL、U+2500)を使っています。
すべては、読者が迷いなく読めるように。
参考までに。